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●天然歯の色調理論 05

 


10.歯肉と補綴装置の色調調和


歯肉は天然歯や補綴装置に大きな影響を与えることは、既述したとおりであるが、特に歯間乳頭部や

付着歯肉の状態で審美性が大きく変化することを知って置く必要がある。

 


「生物学的幅径:Biologic width」という言葉を耳にしたことはあろう。

 

そこで図01に「Biologic widthの模式図」を描写する。

 

歯肉溝1mm、上皮性付着1mm、結合性付着1mmの生物学的幅径として、生体の恒常性を維持する

ための生体防御構成部と定義されている。

          

            Biolgic width 01

                    図01 天然歯の「Biologic width」

 

図02のように歯牙形成したマージン部が「Biologic width」を侵襲した場合、侵襲した領域に応じた

骨吸収が生じるため、注意が必要です。 

 

           Biolgic widthとTooth Preparation

                図02 歯牙形成が「Biologic width」を侵襲した場合

 

これに応用して、マージンライン設定を変化させることもできます。

 

下図03〜 は「Biologic width」に基づいて、クラウンマージン部を骨頂上2mmに設定し、

クラウン補綴装置の歯根形態をレスに調整し、CEJにS字カーブの上部に大きくした豊隆を付与した。

 

図54〜57までに骨頂上2mmの領域にマージンラインを設定すると、補綴装置が完全に装着されるまで

の色調相違が明確に見てとれよう。

 

したがって、これは既述したガミーを用いたシェードテイキングの重要性を示唆するものである。

 


また、装着直後における補綴装置の歯間乳頭部には、大きなブラックトライアングルが生じていた

ものの、装着1週間後にはそのブラックトライアングルは消失した。

 

これが「Biologic width」における生体の恒常性を維持するための生体防御作用なのでであろう。

 

   歯槽骨頂から2mm  11c-set    

   図03a,b 骨頂上2mmの領域にマージンラインを設定し、クラウン歯根形態をレスに調整する

 

 

 

    11e-Shade-match   11f-術後01

    図03c,d クラウンの完全装着後に色調相違が無くなる。しかしながら、、、

          クラウン装着直後の歯間乳頭部には、大きなブラックトライアングルが生じた。

 

  11g-1週間後

     図03e クラウン装着、1週間後に歯間鼓形空隙部のブラックトライアングルが消えた。

 

11.「光の屈折」を必ず考慮する


素材による光の屈折の差は、どうしても避けることができない問題ではある。

 

図60はジルコニア性のイミテーションダイヤで屈折は2.15あるものの、天然ダイヤの屈折が2.42を数え、

ジルコニアの屈折より0.27も高い。

 

空気中ではこの屈折の差はほとんど感じられない。

 


しかし、水中での前者と後者は明確に視認できる。

 

水自体が1.33の屈折を有することと、屈折の高いものは反射の臨界角も大きく、全反射も生じるため、

必ず屈折の低いものよりも明るくなる。



その結果、水中で天然ダイヤはイミテーションダイヤ(ジルコニア)よりも必ず明るくなる仕組みである。

 


それでは、天然歯とメタルセラミックスを比較してみよう。

光の屈折は天然歯1.6、メタルセラミックス1.5である。

 

メタルセラミックスは必ず水中でも元のメタルセラミックスより暗くなる。

(メタルセラミックス1.5/空気1=1.5>メタルセラミックス1.5/水1.33=1.13)

 

したがって、メタルセラミックスが天然歯よりも暗くなることは必至である。

 

水中であることは、口腔内において「唾液中」であることとして作用するため、メタルセラミックスの明度

を表面上で高めるように若干の不透明層を築盛しておくことが重要である。

 

とりわけ唾液が多く観察される部分は前歯部で歯頸部や隣接部であり、臼歯部では舌や頬の境界部

であり、加えて入り組んだ咬合面も挙げられる。

 

つまり、臼歯はほとんど唾液中に存在するといっても差し支えないであろう。

 


図61と62は前者が空気中、後者が唾液中であるが、とりわけ明度差を感じない。

 

実際、外側表面には若干のオパールオクルーザル、咬合面にオパールオクルーザルや

オパールオクルーザルとオパールミルキーの明度の高いオパール陶材の混和物を築盛してある。

 

     18fセラモメタル咬合面01    18g-セラモメタル咬合面02

     図04a 空気中のセラモメタル咬合面      図04b 唾液中のセラモメタル咬合面 

 

12.セラミックスの蛍光性を考慮する



特に天然エナメル質は蛍光性を有し、補綴装置を可能な限り天然歯に近づけるために

蛍光性が重要視されている。

 

蛍光性を有する補綴装置は、UVライトやブラックライト下で明るく輝く。

 

逆に蛍光性を持たない補綴装置は、UVライトやブラックライト下で輝かないため、歯抜けに見えてしまう。

 


ただし、蛍光性は生活環境、天然エナメル質の厚みや人種の違いによっても、その程度は変化する

ため、絶対的に不可欠なものとは判断し難い。

 


上記の屈折では歯頸部に唾液が浸透し、暗くなる傾向を説明したが、ここに蛍光性のセラミック材を

構築する方法も重要であろう(参照)

 

24a-蛍光性01 24b-蛍光性02

 図05a 通常のDay light 反射光下での各素材        図05b UVライト下での蛍光性

 

13.咬合面メタルにおけるメタルフレームの応用

 

咬合面メタルを付与する場合、メタルとセラミックの境界線にオペーク層が露出してしまう。

 

しかし、本症例では一切のオペーク層も露出していない(図06a)。

 

これはオペーク層を築盛する際、マメロン様に移行的に築盛し、咬合面部やマメロン以外の領域にはオペーク層を構築しない。

 

つまり、その部分はメタルフレームが透けており、そのメタル色のグレーを意図的に透過させること

によって、透明感を作り出すことも効果的である(図06b)。

 

  咬合面メタル

            図06a 咬合面メタル(Gettingen大学Prof.Dr.Koerbus) 

 

  25b-メタル色を利用した透明感の再現

                 図06b メタルセラミックス補綴装置

 

 

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