「ゼロから始めるステイン講座」 〜気になるステインの選び方〜
「e.maxうまくいかないんだけど。いつもどんなステイン使ってんの?」
先日、友人からLINEでこんな質問を受けました。
確かに気になりますよね。
が文字通り明暗を分けます。
どういった部位にどんなステインを塗れば良いのか… …ざっくりしとしたメーカーのパンフレットはあっても、実際に 臨床レベルで踏み込んだマニュアルは存在していないのが現状です。
ちなみに、私は主に松風社のVintage Art(以下本家)およびVintage Art LF(以下LF版) を使用しています。
折々他社製品も使用するものの、、、
発色や使い勝手からなんだかんだコレで落ち着いてしまうんですよね。
そこで今回はVintage Artシリーズの中でもとりわけ使用頻度が高く、汎用性に優れたもの を何点かピックアップしてみました。
ぶっちゃけ、これだけ揃えとけば最低限ステインワークで困ることはないよ! といったくらいのラインナップだと思っています。
特徴や使用感を体感レベルで雑記しましたので、何かの参考になれば幸いです。 尚、ステインの塗り方や色調理論については下記を参照下さい。
Aシェード(LF Aシェード) A系統の色のステイン。各メーカーから同名のステインが多数リリースされている。 Aシェードとはいうものの、単純にこれを塗るだけでA系統になる場合は少ない。 全体的に緑がかっているe.max LT系統などはその傾向が顕著。
LF版は本家と比べて色調差が大きく、発色が弱い代わりに全体的にふんわりと色付けをする のに向いている。
●オレンジ(LF オレンジ) 象牙質のもつ暖色を再現しやすい。 汎用性が高く、ローズピンクやワインレッドと混ぜてA系統の彩度強化に用いる他、 ブルーグレーと混ぜればAシェードの様な使い方が出来る。
LF版は本家と比べて色調差が大きく、発色が弱い代わりに全体的にふんわりと色付けをする のに向いている。
●ブルーグレー(LF ブルーグレー) 文字通りブルーとグレーの混合タイプ。 欧州では「鳩色」と称されることも。 下地のオレンジ・イエローを吸収し、透明感を表現するのに重用する。 グレーと異なり補色作用が働くため、視覚的に大きく透明感を得られる。 ただし、下地にオレンジ・イエロー要素のない真っ白なジルコニアに塗布しても単に青くなるだけ で透明感を得られないので要注意。
目安として、塗ってみて「青いな」と思えたら、下地のオレンジ・イエローが足りないと判断して良い。
●ダークレッドブラウン(LF ダークレッドブラウン) 強力な彩度を発揮する赤茶色のステイン。
またワインレッド、ローズピンクに少量混ぜることで強い赤みのサービカル色を表現できる。 LF版はピンポイント使用には向かない為、本家と混ぜて使うと良い。
●LF バニラ ホワイト系のステイン。
ホワイト系ながら極端に彩度を落とさない為、白帯や脱灰部の表現に重用する。
注意点として、焼成後6割程度に発色が低減する為、やや強調して塗布する必要がある。
●オレンジブラウン オレンジの彩度強化版。
A系統から絶妙に外れることの多い、強い彩度の老年代歯牙に対しても有用。 LF版は本家と色調差が小さく、発色がやや弱い代わりにムラになり難い特性をもつ。
特に臼歯咬合面のインターナルステインとして使用する場合は、LF版あるいは 上記の本家&LF混合を使用すると良い。
●マメロンアイボリー 主にインターナルステインに用いる。
インサイザルヘイローの表現として使えなくもないが、不透明すぎる上にムラになり易いため、 LFバニラ+LFオレンジ(少量)と混ぜると使い勝手が向上する。
●ローズピンク 主にサービカル付近、歯肉色を反映したピンク色の表現に用いる。
オレンジやAシェードと混合することでレッドシフトシェードが再現できる。
LF版は本家と色調差が小さく、発色がやや弱い代わりにムラになり難い特性をもつ。
ライター 瀬 直
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