●Pekkton (ペクトン) って...? |
ペクトン®… ? 歯科用途に最適な性質を持つ高性能PAEK系ポリマー
昨今、フレーム材料として「メタル」や「セラミック」とは全く異なる 高性能「ポリマー」 が、日本でもやっと6年間の薬事申請を通過し、 「大信貿易株式会社」から上市されました。
「ポりマー」をはじめ「メタル」や「セラミック」等の物性は、 それぞれに一線を画しているため、容易に比較することができません。
「Pekkton:ペクトン」の素材は、 「PEKK」と言われるポリマーから成っています。
「PEKK」の化学式を下記しますが…
これは「ポリ・エーテル・ケトン・ケトン」という複合化合物です。
「PEKK」はポリアクリルエーテルケトンファミリー(PAEK) の中で、最も性能の高いポリマーです。
この「PEKK」は生体親和性が非常に高く、 機械的特性にも優れています。
一般医療界では、「PEKK」の弾性率が人間の皮質骨や象牙質 と非常に近いことから、既に30年以上にも亘って 人工関節や椎間板等で使用されているのです。
人間の皮質骨や象牙質と近似した物性から、 「PEKK」は従来のインプラント治療と その補綴装置にこれまでに無い衝撃吸収の効果が期待できます。
上図のように、従来のインプラント治療には 歯根膜のような緩衝組織が無かったのです。
個体であるインプラント体、フレームやポーセレンなどの素材等 が直接咬合圧を受けるため、 特にインプラント上部構造体の破折を生じていました。
我々はその衝撃性緩和のアプローチとして、 「AGCエレクトロフォーミングによるゴールドキャップ (Au:99.98%)」にショックアブソーバー効果を期待して、 様々な補綴装置に用いていました。 「PEKK」はポリマーであり、大きな弾性を有します。
したがって、従来のインプラント補綴では困難であった… 「衝撃吸収効果:ショックアブソーバー」を付与することが可能です。
「ペクトンの衝撃吸収効果」
また、「ペクトン」はインプラントグレードの生体親和性を有し、 下表に見られるように比重も非常に小さい物性を持っています。
各種フレーム素材の比重比較
Pekktonの物性
先ず、我々はペクトンの「曲げ強度」に注目し、 その強度の脆弱性に驚きました。
ヤング係数が大きいことからも「たわみ」が当然、懸念されます。 ただし、フルアーチの両側遠心をつかめばたわみますが、 そのような応力や動きは口腔内では起こり得ません。
また、「弾性係数」は応力÷ひずみで表されます。 力をかけたときに対象物がどのくらいひずむのか、変形するのか、 ということを表します。
1000の力を加えた時に999は変形します。
すなわち、「弾性係数」の数値が低いほど “柔軟性がある”物質ということになります。 逆に数値が高ければ柔軟性が無いのです。
「ペクトンの弾性係数:5GPa」という値から、「柔軟性が少ない」 ことが分かります。
また、荷重500ニュートンを約4〜5年に相当する200万サイクル に渡って負荷をかけたところ…… その結果、200万サイクル後もブリッジには何の問題も無かった という報告があります。
ヒトの咬合圧は日本で平均434ニュートン、最大600ニュートン と言われています(愛知学院大学歯学部データより)ことからも、 ペクトンは十分な耐久強度を持っています。
そこでCM社では、継続的な負荷ではなく、 何ニュートンかければペクトンが破折するのかをテストしました。
ベニアリングした臼歯部3ユニットブリッジの耐久試験
その結果、 2500ニュートンの力でベニアリング材が破折しましたが…… ペクトンは無傷でした。
ペクトンの強度が保証されましたので、 我々もインプラント上部構造体のサブストラクチャーとして 臨床応用を開始いたしました。
完成したインプラント上部構造体
術式、臨床提供:恵比寿の「かめだ歯科クリニック」 津田 英広先生
Pekktonは歯周組織に「擬似付着」の生成も、素材の表面性状によって 可能であるとのことですので、それらのデータを後日、 加筆up したいと思っております。 また、上記症例の経過、予後も発表させていただく予定です。
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