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●現在、インプラント治療の成功率はトロント会議[1998年]により95%以上でありながら、不幸にもこんなケースが 「100本のなかの5本」も有り得ます。(「インプラントを考えるページ」を参照) 患者さんは57歳、女性、著明なインプラントロジストのところでインプラント治療(オペ)を受け、3週間後には 上図左右のように上顎全歯、下顎X部に上部構造が出来上がり、装着、診療終了。すごいDr..と思いましたが・・・・。 |
● 案の定、インプラントを埋入した上顎全歯、下顎X部はすでに壊疽を起こし、再生不可能でした。 統べてのインプラントを埋入した部位は撤去となりました。 その後、インプラントを撤去し、治癒した状態が上図左の状態です。 垂直的な骨、軟組織再生療法を応用する事も可能ですが、患者さんは「NO! もうオペはコリゴリです!!!」と。。。 |
●非常に理解できます。 相談の上、「オペ無し」の上顎はフルデンチャ−、下顎には、取り外しの利く、AGC Galvano、および バイオメタルのコンビネーション・デンチャ−(上図左)を計画せざるを得ませんでした。 AGC Galvanoのコンビネーション・デンチャ−(上図右)はとてもスムーズに脱着可能であることから、 顎堤を考慮しても、このケースには最適です。 |
● ここで上下顎の被蓋をコントロールするため、患者さんに「F」と「S」の発音が完璧にできるかどうか を分析します。 「F」は下唇を巻き込んでの発音である。よって、「F」の発音ができない場合、下顎前歯の長さに問題があるため、 上図左のように黒くマーキングを施した箇所を少しづづ削合しながら調整していきます。 そして、完璧な「F」の発音ができるようにします。日本語の発音ではあまりお目にかかりませんが、 ドイツ語で「F」の発音をする場合、「エフ」の「フ」で必ず上顎前歯部で下唇を軽く噛むようにします。 ここで完璧な「F」の発音ができないとすれば、下唇が長すぎたり、短すぎる可能性があります。 また、上顎前歯部の長径や被蓋関係にも影響する場合が考えられます。
次に「S」の発音は、上下顎前歯部が最も近づくときです。したがって、この被蓋関係が完璧で無ければ、 「エス〜」と抜けるような発音することは、絶対不可能です。 ここには、上顎の前歯の長さや被蓋関係が大きく影響してきます。
こうして、上下顎の前歯部の長さが決まれば、この後、カロッテ(排列用ジグ)を応用して臼歯部を並べるだけです。
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●こうして仕上げた物が上図の上顎フルデンチャ−です。 ただし、ガミースマイル(笑ったときに歯茎が出る状態)などを極力避けるため、前歯部隣接部をコンタクトラインで調整し、 機能を考慮した切縁部および表面性状を改善する事が重要になります。
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●上下顎にインプラントを装着したケースでしたがインテグレーションが得られず脱落し、 上図の支台歯しか残せず、上顎にはフルデンチャ−を完成させ、 下顎にはAGC Galvanoによる内外冠を装着したコンビネーション・デンチャーを完成させます。 ただ、臨床家の方にはご理解いただけるかと思いますが、 パラレルミリングを行った通常のテレスコープのコンビネーション・デンチャーでさえ様々な因子が重なり、 製作、装着はそう容易ではありません。 しかもここでは、内冠も外冠もAGC Galvano「99,98%ゴールド」で製作しているため、非常にデリケートです (装着してしまえば強固ですが……)。
内冠の位置関係等を口腔内にも正確に移行し、再現できるようにします。 このようにして、精密なテレスコープのコンビネーション・デンチャーを装着するのです。
●こうして完成し、確実に口腔内へ装着された「AGC Galvanoテレスコープ・セラモメタル・テレスコープコンビネーション・ デンチャー」です(最下図)。 歯牙はすべてセラミック製で永久的に変色はありませんが、 あくまでもデンチャーですので一定期間を於いたリベース(粘膜にタッチする部分の改善)は行われます。
そして患者さん自身のメンテナンスによっては、ほとんど失敗率は無いと言えます(「インプラントを考えるページ」を参照)。 もし万が一、失敗に至った場合の補綴(実際に歯を作り、口の中に装着すること)ケースのフォローも、 考慮に入れておくことが重要かと思われます。
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