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自然に適ったオクルーザルコンセプト

〜NAT Technik nach Dieter Schulz〜


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 -NAT Technik nach Dieter Schulz-

★「審美歯科」とともに大事なことがある、、、★」

近年、「審美歯科」というキーワードが患者様ウケする中、元来、哺乳類が地球に誕生して以来からの

「機能的に噛む」という歯科における最大のキーワードが薄れて来ています。



1999年、ドイツ・ナソロジー(顎咬合学:咬み合わせに関する理論)の大家、Polz氏は永い眠りにつきました。

Polz氏のワックスアップテクニックは元来、P.K.Thomasのワックスコーンテクニックを基本としています。

さらに天然歯を基本とした形態機能的咬合面として発展させ、 「オクルーザルコンパス」が発案され、

完成することになりました。

 

故Polzの哲学は、日本で紹介される機会が稀ではありましたが、ヨーロッパ 全土で絶大な咬合理論

への影響を与えることになったのです。

そしてDieter Schulz氏は、その故M.Polzの哲学の継承者であり、師の哲学をもう一歩進化させ、

『NAT=NaturgemsseneAufwachstechnik/自然(天然歯)に適ったWAX-UP法』を完成させました。

氏の理論はヨーロッパ・ニュー・ナソロジーの中で最も理論的で実践的なワックスアップテクニックの 1つ

としてヨーロッパ全土で絶大な定評を得ています。



我々はこの理論を用いることによって、咬合面の全ての隆線から副隆線、または裂溝から副溝に至るまで

咬合上、一定の規則性を帯びていることを学ぶことが可能となりました。

この理論が明日の臨床に多大なる影響を与えることを期待します。



●『医歯薬出版/月刊「歯科技工」/別冊「目で見るクラウン・ブリッジ /トータルにとらえる歯のかたち」より改編、引用』●

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● NAT Technik = 自然(天然歯)に適ったWAX-UP法

Dieter Schulz氏(写真左上)のワックスアップ法の基本は、故M.Polz氏のシステムを応用したものであるが、

実はその基盤は、数億年前の哺乳類の歯牙発生学にある。



それは、哺乳類特有の咬頭3点接触に深く関連する3つのマメロン咬頭(コニー)の嵌合関係に起因する。

この3咬頭の構成単位、および、顎運動によって生じる咬頭、および、嵌合部の動きを2次元的な

"咬合コンパス"(写真右上)として表し、下記の国際規格のカラーコードに分類している。

赤(点)     = Casp (咬頭頂)
赤(円周)   = Fossa (中心窩)

黄(破線)   = Latro-protrusion (作業側 前側方運動)
赤(点線)   = Medio- protrusion(平衡側 前側方運動)
青(実線)   = Latrusion(作業側 側方運動)
緑(実線)   = Mediotrusion(平衡側 側方運動)
黒(実線)   = Protrusion(前方運動)
赤(矢印下)  = ISS(イミディエイトサイドシフト),
赤(矢印上)  = Retrusion(後方運動)


    


 

●ただし、 個々の運動経路は3次元的に複雑に絡み合っており、

特にRetrusion(後方運動)に関しては、さらに上方、下方、水平的に変位するにも関わらず、

その存在さえあまり知られていなかった。

 

● 実はこのRetrusion(後方運動)、および、ISS(イミディエイトサイドシフト)の発生を避ける意味で、

咬合面結節(写真中央)を形成し、顎運動によって生じるセントリックからの咬頭障害を補償する

システムがこのワックスアップ法の醍醐味である

(言い換えれば、スマッシュルーム「咬合上の遊び」を確保する)。

 

また、咬頭傾斜の緩やかな咬合の場合(グラインド傾向の強い咬合)、

上記の3基本咬頭頂を結ぶ3角と中心窩を結んだ凹部の角度を調節することによって、

咬頭干渉を緩和させることが可能となる。

 

● また、Wien大学のProf.Dr.Slaviechek 等やWestern Burger Kontakt派のDr.Reuschらの順次離開咬合

(日本では、シークエンシャル・オクルージョンと呼ばれている)を応用すれば、

その適正な咬頭傾斜角をコンピューター算出することもできる。


『医歯薬出版株式会社 D.シュルツのワックスアップテクニック 著者: グンター・ゾイベルト  訳:大畠一成 』

『医歯薬出版株式会社 月刊「歯科技工」別冊 「目で見るクラウン・ブリッジ 〜トータルにとらえる歯のかた
〜PartIII 歯牙形態を“作る”、臼歯編:大畠一成
より引用、改編』

 

◎参照

     D.シュルツのワックスアップテクニック                    NAT_前歯部編.gif

D.シュルツのワックスアップテクニック  D.シュルツのワックスアップテクニック(前歯部編)

 

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