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★「ワックスアップ」?★


 

昨今、ジルコニアのマルチレイヤーンの市場に伴って、

フルカンツァーのジルコニアオールセラミックス補綴装置

の需要が増加しています。

 

それには、フルクラウンやフルブリッジ補綴装置

のワックスアップと同様、機能的に、また審美性を有する

歯牙形態の形成が必要とされます。

 

このページでは、

そのワックスアップ法について記述しましょう。

 

★以下にワックスアップ手順を示しました。


 

wax-up-01.jpg

1.ワックス分離材の塗布後、

支台歯に一層ワックスでコーティングを施す。

支台歯の隅角をなぞるように一定量で構築し、

その骨組みの隙間を同一ワックスで均一に埋める

ことによって、鋳造可能で均一な厚さ(約0.4mm)

のワックスコーピングが容易に得られます。

また、ポンティック粘膜面は頬側約半分にワックス

分離材を塗布して、シートワックスを圧接し、

焼き付けます。

マージン部にはブラウン色(硬いマージン用)の

ワックスを築盛し最終的なパターンの変形を

回避することが肝要です。

 

wax-up-02.jpg

2.咬頭頂の咬ませる位置を決定し、

ワックスコーンを植立した後、

あらゆる可能性から生じ得る機能運動を行ないます。

 

wax-up-03.jpg

3.頬舌側の豊隆を考えて形態を付与したうえで、

固有咬合面を決定します。

クラウンカンツァー、歯軸、隅角長を考慮した

主隆線や副隆線正しい骨組みを形成した後、

その間隙をワックスで満たします。

注意:

最初のワックスコーピングも同様に咬合面隅角

および近遠心・頬舌側の4本の支柱を

ワックス形成する。

その間隙を同一ワックスで埋め、均一な厚みを

補償することが重要です。

最後にワックス筆を使用し、より均一な面に

均して下さい。

 

wax-up-04.jpg

4.骨組みの間隙をワックスで満たし、

ワックス筆で表面を均した状態です。

歯冠外形が正しく形成できれば、

自ずと咬合面裂溝の位置も大概的に予測できます。

 「咬合面フィッシュモールの形成

 

wax-up-05.jpg

5.咬合状態(オーバーバイトやオーバージェット

etc.)を確認します。

その際、各咬頭と窩の関係および各カンツァー

をチェックすることが肝要です。

 

wax-up-06

6.咬合面ワックスアップの開始:

基本的に咬頭内斜面は全てが「3角隆線」で

でき上がっていることを考慮する必要があります。

 

3角隆線の真ん中は顕著に高い「中央隆線」および

その近心部のやや低い位置に「近心副隆線」と

遠心部に「遠心副隆線」が存在する。

こうして、それぞれの隆線間に裂溝が

形成されている。

 

 

wax-up-07.jpg

7、咬合状態を確認しながら、

ワックスアップを続けるものの、

それぞれの隆線の外側に形成された裂溝は、

各「主溝と副溝」に分類されます。

 

そこで、中央隆線の外側は「副溝」が形成され、

両副隆線の外側には「主溝」が生じます。

いわゆる「山と谷」の関係に良く似ており、

「山」は隆線であり、

「谷」が自然に出来上がる寸法です。

 

wax-up-08.JPG

8.主溝と副溝の高径を比較した場合、

必ず「主溝は深く」、「副溝は主溝よりも高い」位置

にあります。

また、上図はワックスを築盛しただけであるが、

既述のとおり、隆線を「山」と仮定すれば、

自ずと生じる「谷」が裂溝なのです。


注意:

結果として、前歯部に観察される表面性状と

同様に、歯牙は各隆線の集合体で

できあがっていることに留意する

 

  

wax-up-完成.jpg

  

 

9、咬合面とその外側面との境界部には、いわゆる「エナメル隆線

  が存在しています。

  このエナメル隆線は両側面を明確にすると同時に、咬合面全体

  を取り巻いています。

  また、両小臼歯(4,5)の頬側内斜面の3角隆線中央隆線と

  舌側近心咬頭内斜面の3角隆線中央隆線はやや一体感を有し、

  さながら山脈の様相を呈します。

 

  ただし図で供覧できるように、基本的に咬合面の3角隆線は

  それぞれ咬頭内斜面に形成されています。

  下顎臼歯部では、頬側内斜面の遠心副隆線下部から中央隆線

  に向かって小さな咬合面結節が形成され、

  ここにBコンタクトが存在していることが見てとれよう。


注意:

  ・連結部については、前歯部で6cm2、臼歯部で9cm2以上とする

   必要があります。

 

  ・フルカンツァーのオールジルコニアクラウンの場合、

   CAM後のセントリックは必ず高くなくるゆえに、

   ワックスでは、

   対合歯と約60μ(目安:ケースによってランダムです。)

   の間隙を確保して置くことが肝要です。

 

  ・ジルコニアクラウンは支台歯が顕著な色調の場合、

   その影響を少なからず受けてしまいます。

   したがって、口腔内環境を想定し、模倣を施した模擬支台歯を作製

   して置くことによって、ジルコニアクラウン等の色調確認を行う

   ことが重要です。

 

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★上のようなワックスアップ形成が可能であれば、

セラミックパウダーでも同様に、

より迅速な築盛ができます。

 

ただし、

セラミックパウダーでは確実なウォーターコントロール

や意図したとおりに形成できる築盛スキル

が絶対に必要です。

言い換えれば、お使いのセラミックパウダーに慣れる

ことが前提条件でしょう。

 

 
 

nat_焼成前01.jpg

この咬合面形成は、約1〜2分の時間をかけました。

 

 


 

★花輪容子/大畠一成著:『ワックスアップ』〜これからのスタンダード〜
「機能と審美を追及する臼歯部ブリッジのワックスアップ」、医歯薬出版株式会社、月刊「歯科技工」別冊

 



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